ハイヤー・タクシー業界で働く人たちの労働組合で構成するハイタクフォーラム(全自交労連・交通労連ハイタク部会・私鉄総連ハイタク協議会)は14日、超党派議連であるタクシー政策議員連盟(増子輝彦会長・広田一事務局長)との役員懇談会を開催し、「ライドシェア(白タク)の合法化に反対する請願署名」16万8105筆を提出しました。本来なら衆参両院合わせて100名以上が加盟する議員連盟の総会で各議員へ手交することを予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために総会をとりやめ、役員のみで要請趣旨の説明を聞き、署名を受け取りました。後日、議連参加議員で分担して両院議長あてに提出することとしました。

 超党派議連の幹事長を務める辻元清美団体交流委員長・幹事長代理は、「公共交通を守ろうと運転手の方々がリスクを背負い、労使ともにギリギリの努力をしているなかで、政府がまるで火事場泥棒のように白タク行為を進めることは許せない。皆さんの声をしっかりと政府に届けていきたい」と決意を語りました。

 ハイヤー・タクシー業界は、2002年の規制緩和政策以降、著しい供給過剰と熾烈な低賃金競争が続き、タクシー運転手の賃金や労働条件は極限まで悪化しました。そうした状況に対して「タクシー政策議員連盟」など与野党の国会議員が中心となって>2009年に「タクシー適正化・活性化特別措置法」を成立させ、運賃の適正化や利用者の利便向上、運転手の待遇改善に向けて事業者と労働組合が協力して改善を進める土壌が形成することができました。しかし、安倍政権になってから「成長戦略のひとつ」と銘打つ「シェアリングエコノミー」の一環として、自家用車を利用して有料で客を運ぶ「ライドシェア」合法化の動きが加速しました。違法な白タク行為を「ライドシェア」と言い換え、アプリを通じた利用者と運転手の直接契約に仲介事業者が責任を負わないやり方は、世界各国で多くの犯罪的事例が発生し、海外大手事業者への批判と廃止の動きが起こっています。

 懇談会では、労働組合側から「新型コロナの感染拡大で売上は激減している。これからも倒産事例が出てくるのではないか」という報告があり、このような状況のなかで政府が「ライドシェア」を進めようとしていることに対する批判の声が多数出され、導入阻止に向けた取り組みをさらに強化することを確認しました。