立憲民主党は30日、令和2年度(2020年度)の補正予算の成立を受け、いまの新型コロナウイルス感染の状況や政治のあり方、党の考え方を訴える「 #オンライン大作戦 」を開催。前半は、枝野幸男代表、福山哲郎幹事長、蓮舫副代表、逢坂誠二政務調査会長が補正予算の審議を振り返り、組み換え動議や審議で何を訴えたかなどを語り、後半は、枝野代表と福山幹事長が、今回の補正予算が成立してもなお残される課題、2次補正予算案のあり方など、東日本大震災時の経験を踏まえながら、この危機に立憲民主党としてどう取り組んでいくか等について語りました。
蓮舫副代表は、「私は、国債を安易に発行するべきではない、財政規律を守るべきとの立場だが、今回は別。命の問題だから。29日の参院予算委員会の質疑では、(補償や支援など)すべての予算が足りないと訴えた」と話しました。政府は国民がいま置かれている状況を理解していないと指摘する一方、例えばDV被害者とその支援者や、学生らが声を上げたことで制度や仕組みが変わった例があると紹介。「皆さんが声を上げることで政治は変えられる。自分ごととして発信してほしい、声を上げてほしい。皆さんの思いを受け止めて、私たちは政策を提案していく。もっともっと耳を傾けて、次の補正予算案には何が必要なのか、時差はあったとしても優先順位を間違えない政治をしていきたい」と訴えました。
野党の考えを、新型コロナウイルス対策に関する政府・与野党連絡協議会で提案・要望している逢坂政調会長は、「国民の命と暮らしを守る、全力を尽くしている」と表明。当面6月末頃までの緊急経済対策として、衆院で野党が提出した組み替え動議の概要について解説し、今回は否決されたが将来的には必要になるものだとして「次の補正予算案のなかで実現していきたい」と述べました。コロナの影響に伴う雇用調整助成金をめぐっては、補助率や対象範囲の拡大、手続きの簡素化など野党の提案により制度が改善されたものが多くあるとした上で、対象労働者1人1日当たり8330円の上限設定では差額を事業主が負担することになり正規雇用を守れないとして、せめて12500円くらいまで上乗せできないか提案していると述べました。
前半の最後、視聴者の皆さんに向かって演説した枝野代表は、9年前の原発事故の対応では、常に「最悪の事態」を意識しながら、間違っても正常性バイアスに陥ってはならないと、自分に言い聞かせながら対応にあたってきたと振り返り、「それでも、私の想定を超えて事態が急激に悪化した局面があった。今なお忸怩たる思いであり、関係者の皆さんには重ねてお詫び申し上げる」と表明。その上で、「私たちは、常に『最悪の事態』を想定しながら政策を提案し、また、政府・与党に対しても、安易な楽観論に立たないことを繰り返し求める」と述べました。
また、「適切迅速な対策を推進するためには、基本的な考え方、いわば理念を、社会全体で共有することが必要だと考える。安倍政権による対策は、これまでこの国が歩んできた、『効率化と経済合理性』、競争と民間委託、そして自己責任を強調してきた流れの延長線上にあると言わざるを得ない。今、求められている政治の役割は、一つに感染症から命を守ること。そして、感染拡大を防ぐための自粛や営業停止等による影響から、暮らし、つまり衣食住や仕事、学びの機会等を守ることだ」と主張。ウイルスとの関係、あるいは感染を防ぐことは、ある意味、全ての人が平等で、文字通り「All for One. One for All」が不可欠な状況に置かれているが、経済活動が停滞する影響は、人によって大きさが異なり、より弱い立場にある人に大きなリスクが及ぶとして、「みんなのために、みんながそれぞれに協力する。そのためのリスクや悪影響に大きな差異があるから、それは負担能力に応じて社会全体で分かち合う。これが今、感染症による危機を乗り越えるために、社会が共有すべき理念だと確信する。そして、その分かち合いの機能を果たすのが、政治の責任であり役割だ。『豊かさを分かち合い、互いに支え合う安心』をつくる。私は、コロナウイルス感染症危機を乗り切るために、こうした理念、社会像を明確にして前に進む」と訴えました。
後半の、枝野代表と福山幹事長の対談では、この危機を乗り切るため、みんなで頑張ってもらうためには、誰も取り残さないことが大切であり、そのためには、一番声が届きにくい、一番困っている人の声を聴き、その人たちが使える手段を提供していくことだと強調。あらためて結党以来掲げる「ボトムアップの政治」の必要性を説きました。
有事のリーダーのあり方をめぐっては、枝野代表は「人間は誰でも事故などに直面したとき、『自分だけは大丈夫』だという正常性バイアスに陥りがちだが、有事のときの政治が正常性バイアスに陥り楽観論に立つと、国を守れなくなる。ある意味残念ながらそういう状況になっている」と指摘。現に困っている人がいるのだからと、最悪の事態を想定して法律、制度、予算と使えるものは何でも使ったと9年前を振り返り、「原発事故の賠償スキームを使えば補償のスキームを作れるはずだ。はがゆい思いだ」などと話しました。
結びに当たって枝野代表は、「命と暮らしを守るための政治がいまほど求められているときはないと思っている。一日も早く社会が求めている方向に政治も進んでいくために政権を奪って前に進めていきたい」と決意を述べました。
中継動画はこちら: https://youtu.be/P_ilYBiVWoI