衆院本会議で2日、「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」の趣旨説明質疑が行われ、共同会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」を代表して松平浩一議員が質問に立ちました。
本改正案は、(1)人工知能(AI)やビッグデータなどの最先端の技術を活用した「スーパーシティ」構想の実現に向けた制度の整備、(2)地域限定型規制のサンドボックス制度の創設(3)特区民泊における欠格事由(暴力団排除規定等)等の整備――を行うものです。
冒頭、松平議員は、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方への哀悼の意を示すとともに、療養中の方々にお見舞いの言葉を述べました。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大に関連し、フランスの作家アルベール・カミュの小説「ペスト」の一節「ペストに勝つ唯一の方法は『誠実さ』である」を引用。(1)ダイヤモンドプリンセス号では3,700名もの乗船者を、船内での隔離が不十分なまま公共交通機関を使って帰宅させた(2)武漢のある中国湖北省からの入国制限を行ったのは92万人が来日した春節のあと(3)国民に大きな混乱と不安をもたらした全国一斉休校も、何の前触れもなく突然要請(4)先月20日に一斉休校の段階的解除を打ち出したが、政府専門家会議で今後の爆発的拡大が警告されている中でのこと――を挙げ、思い付きの場当たり的対応に「誠実さ」はまったく感じられないと指摘しました。
また、今後もしロックダウンとなれば、今以上に外出制限や営業自粛が行われ、このままではさらに倒産や経済的な困窮者が増えてくることは明らかだとして、「補正予算を大型連休前までに示すと言っているが、これではあまりにも遅すぎる」と指摘、「人の生活が、まさにぎりぎり、瀬戸際となっているのに、政府にはその危機感、そしてやはり『誠実さ』がまったく感じられない」と批判しました。その上で、今、求めているのは災害に対応できる規模の、大胆な、しっかりとした補償とセットになった経済対策だと訴え、「
今後いつ、どのような経済対策を策定するつもりなのか」と西村康稔経済再生担当大臣に問いました。
本改正案については、(1)特区から全国に広がった事業がなぜ少ないのか。全国措置を拡大するためにどのような措置を講じる予定であるか(2)「2020年までに、世界銀行のビジネス環境ランキングにおいて、日本が先進国3位以内に入る」との目標を掲げているが、今回のスーパーシティ構想がビジネス環境をどのように向上させ、3位以内というKPI実現にどう結びつくのか(3)国家戦略特区の選定にあたり、どのようにして公正性と透明性を確保し、国民の信頼を得ていくのか(4)スーパーシティ構想において、都市間の格差が広がらないよう手当てが必要だと思うが、そういったものはあるのか(5)住民合意をどのように得ていくのか(6)今回のデータ連携基盤の整備によって、個人情報を不当な形で利用されないという保証はあるのか(7)スーパーシティ構想がどう経済面で地方創生につながるのか――など北村誠吾担当大臣にただしました。
最後に、「いいところだけを見れば夢のある話ですが、質疑に取り上げたような、負の側面は何か、その影響と対策はなされているのかという点の十分かつ慎重な審議が国会に求められる」「大臣の誠実な答弁を切にお願いするとともに、真の地方創生の実現に向けた充実した審議がなされることを期待する」と述べ、質問を終えました。