枝野幸男代表は4日、国会内で自民党の安倍晋三総裁と公明党の山口那津男代表と会談。安倍総裁から新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、特措法)を改正し新型コロナウイルスの感染拡大防止に対応できるよう協力の要請がありました。会談には福山哲郎幹事長も同席しました。

 会談では枝野代表から(1)協力できることは最大限協力する姿勢はこれまでも、今後もそうしていきたい(2)ただ、ここまでのクルーズ船に対する対応、それから特に学校の一斉休校が唐突に準備なく行われたことに対しては、問題だと言わざるを得ない(3)新型インフルエンザ特措法が新型コロナウイルス感染拡大防止に適用できると1カ月以上前から指摘してきた――ことを伝え、その上で、「現行法を明日にでも適用すれば、その方が迅速に対応できる」と指摘し、現行法のまま適用すべきだと伝えました。

 また、現行法のままでも改正した場合でも特措法を適用するにあたり(1)現状は、緊急事態宣言の要件を満たした状況ではなく、緊急事態宣言を出さなくてもいいように押さえ込むことが政府の責任であり、安易な緊急事態宣言は避ける必要がある(2)万が一にも適用する場合には、事前にその必要性についての科学的根拠や解除する場合の要件などを示す(3)緊急事態宣言が継続する間は2、3週間に一度程度、国会にその状況を報告し、質疑を行うといったことを確保する――ことを伝えました。

 さらに、(1)法改正の場合には、2月1日に遡及するといった内容になってるが、遡及することの意味がわからず、遡及して適用できるようにすることはまったく意味がない(2)党首会談を行うほどの急がなければならない大変な事態だという認識であれば、行政文書の管理に関するガイドラインに基づく歴史的緊急事態に指定し一切の文書を全部残すようにする――ことを要請しました。

 加えて(1)PCR検査を急ぐための議員立法を提出しているので迅速に審議をし成立させる(2)一斉休校の関連で、自営業者やフリーランスの方々などにもしっかりと給与所得者並みに支援をし、放課後児童クラブへの抜本的な支援を行うべき(3)経済対策で、生活が成り立たない、いわゆる経済的弱者の皆さん、小規模事業者、非正規労働者、フリーランスの皆さん、一次産業を含む自営業者の皆さん、こうした皆さんに対しての支援を優先かつ強力に進めるべき――であると申し入れしました。

 また、(1)政府による発信が非常に国民の不安を広げているので、1日1回でもその時点での状況を、同じ顔(担当者)で責任をもって国民の皆さんに発信をしていく(2)厚生労働省だけの問題ではなく、省庁横断的にオール霞が関で対応していくために、指揮系統を明確にしテーマ別の省庁横断のチームを作る――ことを要請しました。

 これらを受け、安倍総理からは(1)緊急事態条項を適用する場合については、事前に相談をする(2)公文書のガイドライン、歴史的緊急事態についても、ぜひ検討させていただきたい(3)PCRの議員立法については与野党で検討していきたい(4)社会的弱者には寄り添う必要があるという認識の上で、注意深く目を凝らして優先的に対応したい(5)現行制度の法律では対応できないので今回の判断に至った(6)経済については、雇用や中小企業も含めてしっかりと対応していきたい――といった話がありました。