立憲民主党の子ども・子育てプロジェクトチーム(PT)のもとに設置された「不妊治療等に関するワーキングチーム」(WT)は30日、第1回目の会合を開催しました。

 このWTは、子どもを授かりたいと希望する人々が産み、性や生殖に関し自らの意思に反して抑圧されることのない社会づくりを目指し、政策提言をまとめていこうと、1月28日の子ども・子育てPTで設置が確認され、始まりました。

 初回は、明治学院大学社会学部長の柘植あづみ教授に「リプロダクティブライツ/ヘルス(性と生殖に関する権利)から不妊治療を考える」と題して論じていただきました。
 日本では「少子化対策」として2004年に体外受精など高度生殖医療への助成事業が導入されました。現在では、その年間実施件数は世界第1位となりながらも、成功率は平均で20パーセント以下と低く、その理由として年齢の高い人が受ける割合が高いためではないかとされていることなどの課題が示されました。

 質疑では、保険適用が行われてこなかった背景や、保険適用するためには不妊治療の技術を平準化し、質を高める必要があること。また、現在の自由診療下において、公立の大学病院などでは1回30万円程度の体外受精費が、専門のクリニックでは5、60万円と近年、治療費が上がっている現状を巡り、活発な議論が行われました。
 一方で、柘植教授は、先端医療技術があるゆえに「あきらめたいのにあきらめられない」悩みや、地方においては跡継ぎを期待されることへの悩みなど、可視化されていない背景にも思いを致して欲しいと結びました。
 不妊治療経験のある参加者からは、「『不妊』のつらさの上に、『不妊治療』のつらさがあると仰ったことは本当にその通りだ」などの感想が漏れました。

 性と生殖に関する権利とは、人々が身体的・精神的・社会的に良好な状態で、安全で満足な性生活を営み、子どもを産むかどうか、産むならばいつ、何人産むかを決定する自由を持つ権利です。
 WTでは、性と生殖に関する権利を確保するためには、どのような政策を進めていかなければならないのか、具体的な提言をまとめていきます。