参院予算委員会で29日、令和元年(2019年)度予算案の基本的質疑が行われ、「立憲・国民.新緑風会・社民」から蓮舫、石垣のりこ、杉尾秀哉各議員らが質問に立ち、安倍総理らの見解をただしました。
蓮舫議員は、総理主催の桜を見る会の問題について安倍総理らの見解をただしました。
飲食物などを提供している業者と入札公告前に意見交換をしていたことについて、公正な入札を妨げた恐れがあると指摘しました。さらにその業者の取締役が2017、18年の桜を見る会に招待されたことについて、会の目的である「各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労するため」に照らし、どういった功績・功労があったのかただすと、安倍総理は「個別の方についてはお答えできません。一般論としても今は個別の例として挙げられましたので、お答えする事はできない」と答弁し説明を避けました。
また招待者名簿が破棄された問題で、保存期間を原則1年以上としつつ、その例外として1年未満で廃棄してもよい文書として「行政文書の管理に関するガイドライン」で例示されている項目に該当する新聞の切り抜きなどと、伝統的な総理主催行事の招待者名簿が同一の扱いなのかと指摘。さらに名簿がなければ招待された人物がふさわしい人物で税金が適切に使われたかを後に検証できないとして、桜を見る会の終了をもって使用目的を終えたかをただすと、菅官房長官は「終えたと思っています」と、公文書の適切な保存について疑問が残る答弁をしました。
石垣議員は、「桜を見る会」の招待者名簿の電子データ廃棄記録(ログ)をめぐり、菅官房長官が27日の衆院での審議で「ログは、政府全体として、不正侵入、不正操作などがなされていることの検証を行うために取得するためのもの。開示すれば不正侵入などを助長するおそれがある」「本来の取得の目的を超えてログを確認することが行われれば、例えば内閣府の特定の係を調べる場合でも、同じシステムを国家安全保障局が利用している。内閣官房、内閣府のまさに国家機密にかかわる情報を含めて調査することになり、漏えいの危険が増す」などと答え、開示を拒否したことを問題視。どこが漏洩につながるのかと技術的な説明を求めましたが、菅官房長官、内閣官房からは納得のいく説明はなされませんでした。石垣議員は政府の答弁通りに名簿が破棄されたのかを検証をするためにはログの検証は不可欠だと指摘、国政調査権として検証する必要があると委員会ではかるよう求めました。
これに対し金子委員長は後刻理事会で協議するとしました。
杉尾議員は質問の冒頭、同日午前、新型コロナウイルスによる肺炎の感染が広がる中国湖北省武漢市から政府のチャーター機が到着、邦人約200人が帰国した件について、加藤厚生労働大臣に現状説明とともに万全の対応を要請。政府として明日30日に対策本部を設置することには遅すぎると指摘、チャーター機で帰国した人に1人あたり約8万円を請求するとしていることには、これを免除すべきとの考えを示しました。
その上で、杉尾議員はiPS細胞研究予算を中心に質問。iPS細胞研究予算をめぐっては、ノーベル生理学・医学賞を受賞した、京都大学iPS細胞研究所(CiRA=サイラ)の山中伸弥教授が昨年11月、日本記者クラブでの会見で、「一部の官僚の方の考えで国のお金を出さないという意見が入ってきた。いきなりゼロになるというのが本当だとしたら、相当理不尽だなという思いがあった」などと発言、iPS細胞の備蓄事業について公の議論なしに予算が削られようとしているとして支援継続を求めていました。政府はこうした事態を受け削減を見送り、当初の計画通り2022年度まで支援を続ける方針を決めましたが、杉尾議員は自身が入手した、当該官僚が予算削減を提案したとされる会議での議事メモをもとに事実関係を確認。「iPS細胞研究は日本の成長戦略の1つ」だとその意義を説き、その研究予算を削減する旨の発言をなぜ官僚ができるのかと厳しく非難しました。