日本教職員組合(日教組)は24日、第69次教育研究全国集会を広島市内で開催し、約9千名の教職員が全国から集い、力量や専門性を高めるための研究活動を行いました。

 同日午前の全体集会で主催者代表の岡島真砂樹・日教組中央執行委員長は、「自国第一主義、排他主義が世界的に広まり、日本においても平和や民主主義の危機がさらに深まる中で、本集会をヒロシマで開催する意義は大きい」とあいさつ。「いじめ、不登校、子どもの貧困、種々の差別など、子どもをとりまく状況が深刻さを増す中で、すべての子どもの学ぶ権利が保障されるインクルーシブな学校づくりを進める必要がある」「2020年度より新学習指導要領が小学校から順次本格実施となるが、学習方法・評価については、各学校現場の主体性のもと、子どもの実態を踏まえ創意工夫しながら行われるべき。また、プログラミング教育やICT環境の整備、先端技術の活用が進められようとしているが、能力主義・成果主義に陥ることなく、子どもの思いや考えを出発点とし、子どもを中心に据えた教研活動・教育実践につなげていかなければならない」などと述べました。

 続いて、同集会の現地実行委員長を務めた門長雄三・広島高等学校教職員組合執行委員長は、「『教え子を再び戦場に送るな』の言葉を常に胸に刻み、平和を維持するために何をなさねばならないかを問い続けている」「教職員の長時間労働の是正は、喫緊の課題。『やりがい』という言葉で労働条件を隠蔽してはいけない。教職員が生活時間を取り戻し、子どもたちに元気な姿で接することができるよう職場を変えていく必要がある」と語りました。

  その後、来賓あいさつに続き、女優のサヘル・ローズさんが、「出会いこそ、生きる力」と題して講演を行いました。

 前夜のレセプションでは、日本民主教育政治連盟(日政連)会長を務める立憲民主党の那谷屋正義議員が、「最近は、教育研究のレポートをまとめる余裕が、現場にほとんどなくなってしまっていると聞く。その環境を変えるのが私たち国会の役目。昨年末の給特法改正をはじめの一歩として、しっかりと実現していきたい」と述べました(冒頭写真)。

 また、日政連幹事長を務める水岡俊一参院議員は、「自分も教員だった頃、子どもたちのために仲間と肩を組みながら行うこの教研活動を、誇りをもって頑張ってきた。いま、働き方改革で仲間がたいへん苦しむ中でも、励ましあいながら同活動を進めていこう」と語りました。

 同大会は、24日午後から25日にかけて、各科目別分科会をはじめ、インクルーシブ教育、国際連帯・多文化共生の教育、両性の自立と平等をめざす教育など24の分科会が開催され、26日の「子どもの学びと教職員の働き方を考えるシンポウム」で締めくくられます。

全体集会のオープニングでは、広島の「被爆ピアノ」によるコンサートが行われました