立憲民主党は5日、政調審議会(第62回)を国会内で開催。「2020年度税制改正・要望重点項目について」と「社会制度調査会中間とりまとめ~立憲ビジョンのバージョンアップに向けて~」を了承しました。
冒頭、逢坂誠二政務調査会長は、会社法改正に関し「株主の権利が後退する」として野党が修正を求めた結果、株主提案権を一部制限する条文が削除されたこと、現役高校生や教師らと野党が一緒になり延期を求めていた、大学入学共通テストで予定されていた英語の民間試験の導入が見送られたこと、全世代型保障会議での議論をめぐり、野党の国会での議論や立憲民主党の意見表明などが引き金となり在職老齢年金制度の見直しなど制度改悪の議論が急速にしぼんできていることに言及。「野党の力で政策面でも大きな成果が上がったことをあらためて確認してほしい」と呼びかけました。
また、かねてから高校生や野党が訴え続けている、共通テストの国語、数学記述式問題の導入延期に関し、公明党が同日、萩生田文部科学大臣に延期を申し入れ、それに対し大臣が年内に判断すると答えたことに触れ、「会期を延長し、国会でしっかり議論しよう」と力を込めました。
会議ではまず、最低賃金検討プロジェクトチーム(PT)の設置と、衆参両院での畜産物価格等に関する決議がされたとの報告がありました。
審査事項では、税制調査会がとりまとめた「2020年度税制改正・要望重点項目について」と社会制度調査会がとりまとめた「社会制度調査会中間とりまとめ」をそれぞれ了承しました。
「2020年度税制改正・要望重点項目について」は、来るべき時代を見据え、「公平・納得・透明・簡素」の原則を踏まえつつ、税制の有する「財源調達機能」「所得再分配機能」「経済安定化機能」の回復・最大化を図るために講じられるべき事項をまとめたものです。特に所得再分配機能の強化に重点を置き、消費税における軽減税率制度については逆進性の緩和策としては機能を有さないとして、給付付き税額控除の実現を求めています。
「社会制度調査会中間とりまとめ」は、立憲民主党としての方向感を示したものとの位置づけで、(1)社会保障負担の逆進性が強く影響する中低所得者対策を重視し、所得再分配の機能強化(2)規制緩和、経済成長、財政健全化等の一部の立場に偏った議論には与しない(3)政府の2000万円報告書に象徴される不誠実な姿勢とは一線を画し、国民とともに現実を直視して課題の検討を進める――の3つの基本姿勢を明記した上で、立憲ビジョン「老後の安心」の具体化と関連施策、および現状配慮が手薄となっている現役世代などの社会保障政策の課題についてまとめたものです。