衆院本会議で7日、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)の一部を改正する法律案」が審議入りし、野党共同会派(立国社)を代表して山本和嘉子議員が質問に立ちました。

 本改正案は、地方公共団体の判断により、公立小中高校などの教職員の勤務時間を年単位で調整する「変形労働時間制」の導入を柱とするもの。政府は働き方改革の一環として繁忙期の勤務時間の上限を引き上げ、夏休み期間中などに休日を取得できるようにすると説明していますが、現場の教職員らからは「変形労働時間制」を導入すれば時間外労働が無限に広がるなど、いまでも過酷な労働環境がさらに悪化し過労死を増やしかねないと反対の声が上がっています。

 山本議員は冒頭、2020年度開始の大学入学共通テストを取り上げ、萩生田文部科学大臣の「身の丈」発言に象徴される英語民間試験導入問題に対する政府の対応を問題視。「最も公平であるべき受験がゆがめられたことは、文部行政への不信感を増幅させている。文部行政を所管する最高責任者の文部科学大臣の辞任に値する」と断じました。

 加えて、国語と数学の記述式問題についても採点の公平性への疑問や受験生の自己採点の難しさなどから高校生らから中止を求める声が上がっていると指摘。「どんな研修を受けたアルバイトが採点するのか。およそ1万人が必要とされている採点者のうち、アルバイトはどれくらいの人数なのか。大量のアルバイトの研修ができるのか」「高校生が記述式入試の中止を求める4万人署名を文科省に提出したがこのまま強行するのか」と文科大臣に追り、「現場の声、高校生の声に耳を傾け、抜本的な制度設計の見直しが不可欠。声を聞かないまま、不公平な制度をこのまま強行することに強く反対する」と表明しました。

 給特法の改正をめぐっては、既に多くの反対意見や懸念の声が上がっているとして、学校の働き方改革で最も重要なことは教員の労働環境の改善、大幅な増員、そして業務量の削減だと主張。その上で、(1)教員の長時間勤務の削減見込みはあるのか(2)地方公共団体で適当な運用がなされるよう、制度の趣旨を踏まえたルールを策定すべきではないか(3)「1年単位の変形労働時間制」採用により過労死事案が増加することを懸念する声をどう受け止めるか(4)文科省が定める指針に沿った勤務時間の管理は、最終的に誰の責任で実施されるのか――等について文科大臣の見解を尋ねました。

 山本議員は最後に、「せざるを得ない残業は残業と認めてください。残業には残業代等の対価を支払ってください」と述べ、不払い残業を合法化している給特法の廃止を含めた抜本的な見直しが急務だと要請。「本法律案については、逆に長時間労働や過労死を増やすという危惧があるため、十分かつ慎重な審議を求められる」と訴えました。

【衆院本会議】「給特法」に対する質問原稿 山本和嘉子議員.pdf