立憲民主党の枝野幸男代表と蓮舫副代表は20日、台風19号による災害状況を確認するため宮城県を訪問しました(写真上は、吉田川が氾濫したときの説明を受け、現場と見比べる枝野代表ら)。

 枝野代表は大崎市鹿島台大迫付近で吉田川が氾濫し水田や住宅が浸水した状況の視察後、大郷町役場で田中学町長と石川良彦議長から町内の災害状況をヒアリング。その後、丸森町に移動し町役場で保科郷雄町長から災害状況をヒアリングし、さらに役場の隣にあり避難所となっている丸森まちづくりセンターで住人の方と面談、その後、同町竹谷地区で浸水した家屋の片付けをしている様子などを視察しました。それぞれの町で食用の米は収穫されていたものの浸水によりダメになってしまったものがあるとの話があり、また飼料用の米の収穫は済んでおらず今回被害にあい、米も稲わらもダメになってしまったという話がありました。視察には安住淳国会対策委員長、石垣のりこ参院議員らが同行しました。

大郷町役場で田中町長と石川議長からヒアリング
丸森町役場で保科町長からヒアリング
丸森町役場の向かいにあるグラウンドに積み上げられた災害ごみ
1階天井付近まで浸水するなか、天井に穴を開けカーテンをくくりつけ脱出した話を聞く安住国対委員長
浸水した倉庫を片付ける様子

 蓮舫副代表は、名取川から逆流し地区の民家や漁協の事務所など20棟以上が床上浸水した仙台市太白区の旧笊川水門付近を視察、笊川では担当者の説明に耳を傾けるとともに、被災地域では被災者の話を聞くことに集中し「お疲れが出ないように」と励ましの言葉をかけました。視察には岡本あき子衆院議員らが同行しました。

旧笊川の氾濫状況を聞く蓮舫副代表ら
被災当時の話を聞く蓮舫副代表

 枝野代表は視察後、記者団の取材に応じました。記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:現場を視察されましたが、どのような感想を持たれたか

 想像はしていましたけれども、たいへん大きな被害ですし、1週間近く経っているわけですが、まだ復旧という段階の入口にも立てていないという方や地域が少なからずあり、対応を急がなければならないと改めて痛感しました。

Q:今後できうる支援としてはどういった事が考えられるでしょうか

 地域ごとに、同じ水害といっても状況・事情がかなり異なっていると今日感じました。まだ、排水、しかも大型に排水しなければならない地域もあれば、ここ(丸森町)は泥で、しかも住宅地が泥に浸かっており、固まらないうちに泥をなんとかしなければならない。いずれにしても、物・人、双方で相当に集中的に力を注がないといけない状況だと思います。

 全国から排水車が来ているとか、ボランティアも集まってきていただけるという状況ですが、平日になったり、また新しい台風もあり次の雨も心配な状況ですので、いろいろなものを前倒しで進められるようにわれわれとしても頑張っていきたい。

Q:避難所で被災された方とどういった言葉を交わされたか教えてください

 やはり、片付けが大変だと。実際に今日昼間片付けにいって戻ってこられた方は、片付けそのものが大変だと。逆に片付けに帰りたいが、まだ道路が通っていないので帰りたくても帰れないということで心配だと(いう人もいる)。やはり皆さん、これからの片付けのことをものすごく心配されていらっしゃいました。それから、このような状態がどれくらい続くのだろうかということの心配をされていました。

Q:そういった方に、どういった言葉をかけられましたか

 特に道路などについては、最大限のスピードでやれるようにということは引き続き強くプッシュしていきますと。とにかく身体が第一なので、避難所生活が1週間超えると相当身体が弱っていると思うので、ぜひ健康に留意しながら頑張ってくださいと声掛けさせていただきました。

Q:今日、農業被害の話も出ていたと思うのですが、そういった農業の被害に対して国・政府に対して何か求めていくような事は今後考えられるのでしょうか

 多くの場合が共済に入っておられるのではないかという話も町長などと話もしました。ただ、当面の対応はできるかもしれませんが、やはり高齢化が進んでいるなかで、こうした災害を繰り返されないような安心感を作っていかないと1次産業、農業酪農畜産など、なかなか続けていけないのではないかと受け止めています。こうした水害を再発させないような、方向性を早い段階で示していくことが1次産業の再建に向けても大事ではないか。

Q:早い段階でとおっしゃっていましたが、町長や副市長の話からは、復旧だけではなく、さらに増強して欲しいという要望もあったと思いますが、新しい町づくりのあり方も含めてどう感じていますか

 今回、回らせていただいたところだけでも、同じ台風による豪雨災害、それによる河川の氾濫、堤防の決壊―といっても、事情・状況が全部違っていると短い現地調査でも十分把握ができました。そうした意味では、地域の声、地元の皆さんが長年に渡って、どこがどう弱い、どういう時に災害が起こるかということについて、いろいろな蓄積があるので、それをしっかりと受け止めたかたちで、復旧、さらには補強というのをしていかなければならない。そういった意味での、本当の意味での分権化、実際にお金は国が出していかないとできませんが、知恵やアイデアは地域の声をしっかりと受け止めていくことが重要だと思っています。

Q:1カ所目で住民が堤防強化を要望していたのに実現しないまま今日被害を迎えたということについてはどう受け止められたでしょうか

 今申し上げたのと繰り返すことになるのですが、国が予算を出してやっていかなければならない災害対策だからといって、トップダウン型では結局投資の有効活用にはならないのではないか。一番弱いところ、必要なところというのは住民の皆さん、地域の皆さんが一番良くわかっている。そうした現場からの声に基づいて、防災のための資源投下をしていかなければならないと強く感じています。

Q:昨年の西日本豪雨災害の教訓を生かしていないのではないかとも見えたのですが、真備町で堤防決壊して大きな被害を出した教訓が

 それは昨年の今年ですから、1年間でこの手のものが多く進むとは思いません。ただ段ボールベッドは昨年の岡山の災害の時に私も申し上げましたし、私どもの立憲民主党の仲間が段ボールベッドは投資額が少なくて、それで体育館の床に寝るのとは違う、意味は大きいので至急これは手当すべきだと申し上げたのが、今回の災害では即日とはいきませんでしたが、段ボールベッドなどは結構普及しているので、これは大きく前進しているのではないか。次はプライバシーですね。これはまだそこまでいっていないので、衝立と段ボールベッドは最低限どんな避難所でも、数日のうちに届くようにしないといけないなと。次はこれが課題だと思います。

Q:今日の街頭演説でも仰っていましたが、かねてから自治体の正規職員を増やしたほうがいいのではないかと主張をされていますが、こういった災害の現場を視察して改めて感じた部分はございますでしょうか

 今日、直接お話をうかがった地域は、どちらかというと地域のコミュニティがしっかりしている地域で、消防団、自治会などの皆さんがこの災害でも尽力されている話もいろいろなところで耳にすることができましたが、特に都市部ではそういったことに期待ができない、期待できる度合いが小さい、そうすると実際に今回の被災地域でも自治体の職員だけではとても回っていないというのははっきりしているわけです。したがって特に地域コミュニティがなかなか機能していない地域において、自治体職員の数は災害にむけては絶対必要ですし、それからコミュニティがしっかりしている地域では逆に高齢化が進んでいますので、おそらく10年後でも同じ方が同じように地域のコミュニティを支えているということになりますから、急ぎしっかりと自治体の職員が基本のところはサポートができる体制を取り戻さないといけないと強く感じました。

Q:22日に即位礼正殿の儀がおこなわれます。皇位の安定的な継承に関して立憲民主党はすでに論点整理を発表していますが、今後の行為の安定的な継承に関しての議論について、どのように期待されるでしょうか

 2重の意味で今日ここでお話するような話ではないと思います。