立憲民主党は30日、第52回政調審議会を国会内で開き、同性婚を法律上認める「民法の一部を改正する法律案」(婚姻平等法案)を了承しました。
同法律案は、現行法上、同性婚は認められないと解されていることを踏まえ、個人の性的指向・性自認を尊重する必要性から、「婚姻の平等」を実現するため、同性の当事者間による婚姻を法制化するものです。(1)同性婚の法制化(2)同性婚の当事者も特別養子縁組その他の養子縁組が可能となるよう所要の規定を整備(3)同性婚を認めることに伴い、文言を性中立的なものに改正――を盛り込んでいます。
会議ではこのほか、国会同意人事案や議員立法等を審査。国会の行政監視機能を高めるための「財政評価監視設置法案」、労働者が公職への立候補をしやすい環境を整えるため、新たに「立候補休暇制度」を創設する「立候補休暇に関する法律案」(ともに立憲民主党)を了承しました。
超党派議員立法では、施行5年後の見直し規定に則り、児童権利条約の精神を目的に追加、市町村における貧困対策計画の策定を努力義務とする等の措置を行う「子どもの貧困対策推進法案」、「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案」「愛玩動物看護師法案」をそれぞれ了承しました。
会議後記者団に対し、党SOGIプロジェクトチーム事務局長の尾辻かな子衆院議員は婚姻平等法案について、「立憲民主党としては、『憲法24条は同性婚を禁止しているものではない』という解釈を明らかにしている。いま政府答弁も憲法24条は同性婚を想定していないとなっている。実際に婚姻届を出すと『不適法』という理由で不受理にされるので、それであれば民法を改正すれば可能になるということだ。今年2月14日に13組のカップルが裁判を起こしている。これは立法府の不作為を問う、同性婚を法制化していない立法府に対して国家賠償請求をしているものであり、こうした経緯を踏まえたもの」だと説明。同性婚が世界で初めて認められたのはオランダだが、そこから5月24日に台湾が26番目として、アジアで初めて認められるようになった。世界でいうとG7、主要7カ国のなかで同性婚が認められているのは5カ国で、イタリアでも同性カップルに結婚に準じた権利を認める『シビル・パートナーシップ(またはシビル・ユニオン)制度』があり、G7のなかでこういった法制化がされていないのは日本のみであるという状況。そうした観点からも、先進国と言われる日本で婚姻平等が認められていなかったこと自体がおかしかったんだと思う」と指摘しました。
逢坂誠二政務調査会長は、同法律案の意義について「現実にいろいろなケースが増えていることだけでなく、多様性を認め合うことが社会全体の活力、社会全体を強くしていくことにつながっていくとわれわれは思っているので、これに限らず多様性を認め合うという考え方のもとにいくつか法案を提出していきたい」と表明。「多様性のある社会は、場合によってはさまざまないさかいや摩擦もあるかもしれないが、そうしたことが社会を強くしていると思う。歴史に学ぼうとすれば、多様性は困難も伴うが最終的には後にいろいろなものを残したり、社会を強くしたり、進化していく原動力にもなっているのではないか。これから多様性を全面に打ち出していろいろなことを考えていきたい」と強調しました。