長妻昭政務調査会長は25日夕、裁量労働制の調査票の設計および来年4月に導入される高度プロフェッショナル制度(高プロ)について厚生労働省が作成したリーフレットの問題点について、同省の労働基準局労働条件政策課長らからヒアリグ。同省の有識者会議が21日にまとめた調査票では、裁量労働制のもとで働く労働者の実態が把握できないとして修正を求めるとともに、制度を正しく説明していない高プロについてのリーフレットを撤回するよう申し入れました。
ヒアリングには、長妻政調会長らとともに裁量労働制をめぐる同省のデータの問題点等を追及してきた法政大学教授の上西充子氏が同席。上西氏は、そもそも従来の実態調査がずさんであったことが問題化したことを受け再調査の実施が決まったにもかかわらず、今回の調査票が実態を把握するための設計になっていないと問題視。具体的には、裁量労働制適用労働者からの苦情処理の状況や裁量労働制が適用されていることへの満足度をたずねる設問で実態把握のためには本来対象者全員に聞くべきものが質問の順番によって対象者を限定する形になっていること等を挙げ、修正を求めました。
長妻政調会長は、裁量労働制が適用される前後で労働時間の増減についての設問がないことや、裁量労働制適用労働者が長時間労働によって過労自死したケースが多発しているなか、その再発防止に向けた調査になっていないこと等を指摘。調査実施後に、国会でこの問題を取り上げた際に「なんで、(修正の求めがあったことを)そのとき伝えなかったのか」ということにならないよう、しっかり厚労働大臣や有識者会議のメンバーに伝えるよう求めました。
「本人の希望に応じた自由な働き方の選択肢を用意します」などと書かれた高プロに関するリーフレットについては、長妻政調会長らは「バラ色になる書きぶりで制度のマイナス面が書かれていない誇大広告だ」「政省令で決まっていないことを書くべきではない」などと指摘。高プロについては、現在同省労働政策審議会の分科会で対象者の年収要件や適用業務等省令の議論が行われています。厚労省の担当者は「あくまで(働き方関連)法案が成立した時点で作成したもの。政省令の審議が終われば新しいリーフレットを作る」と釈明しましたが、「このリーフレットをもとに導入の議論が始まっている」「これを信じて高プロで働いた結果、過労死という事態に至ったらどうするのか」と強く撤回を求めました。