「日本をジェンダー平等社会に!CEDAW(女性差別撤廃条約」正式名称:女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約)委員パトリシア・シュルツさんを迎えて10.2院内集会」が2日午前、国会内で女性差別撤廃条約選択議定書の批准の必要性について考える集会が開かれました。立憲民主党から党ジェンダー平等推進本部事務局長の大河原雅子衆院議員が出席しました。集会は日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)、国際女性の地位協会(JAWR)、女性人権機構の共催で開かれました。
「女性差別撤廃条約選択議定書」は、女性差別撤廃条約採択20周年にあたる1999年に国連総会で採択され、女性差別撤廃条約批准国189カ国のうち、109カ国が批准(2018年8月現在)。個人や集団が、条約違反に対して女性差別撤廃委員会に申し立てできる通報制度を定めたもので、条約に加盟している国が選択して批准するものです。日本は条約については85年に批准し同年に発効していますが、選択議定書は批准していません。
パトリシア・シュルツCEDAW個人通報作業部部長は「なぜ女性差別撤廃条約選択議定書の批准は必要か」と題して講演。シュルツ氏は、日本では条約が早期に批准されたと評価する一方、実施については悪法が残ったままで昔の勧告を繰り返さざるを得ない状況だとして、「悪しき法律は良き実施で対応できるものではない。教育や健康といった社会的予算が削られ、進捗としては停滞もしくは後退している」と指摘しました。
「ある国が選択議定書を批准することはその国の司法が非常に大きく説明責任を負うこと、司法的ないろいろな機関、制度が強化されることにつながる。すなわち、自分たちの裁判所がどういう決定をしたかを外部の目で見てもらう、審査をしてもらうことでその国の司法制度がより良く、より強くなると信じている」「日本が選択議定書の批准を求める運動に参加すること、地域的なシグナルを発することが日本にとっては大事。アジアもこの方向に行けるという、具体的、かつ効果的な措置、メカニズムを持ってこの地域の女性の権利を守っていくということを示すシグナルになってもらいたい」などと意義を強調。「法の支配を考えると選択議定書を採択、批准することはその国が法の支配を尊重しているかどうかという一部を構成するものだと思っている。ぜひ日本でもこの問題を取り上げ、全体的な運動に日本が参加されるよう効果的な形で女性の差別を撤廃するための女性の権利を守るための効果的なメカニズムに入るという運動に参加してほしい」などと求めました。
立憲民主党を代表してあいさつした大河原議員は、ジェンダー平等社会の確立を党の綱領にも明記していることにも触れ、「選択議定書を批准することは長年の私たちの思いであり、そのための活動をNGOの方々が積み重ねてこられたなか、いまだに批准できないことを非常に心苦しく思う。もう一度政権を変えることも含めて新しい社会を作っていくために必要な世界水準の視点を、女性だけでなく男性も必要だという社会認識を広げることも私たちの役割だと思っている。皆さんとつながって早期に批准させたい。政策や予算もジェンダー平等の視点からチェックできるように、願わくば国会のなかにジェンダー平等の委員会ができるよう、働きかけていきたい」などと述べました。