枝野幸男代表は15日、島根県江津市桜江町を訪れ、「平成30年7月豪雨災害」の被害状況を調査しました。視察には党組織委員会長代理の石橋通宏参院議員も同行しました(写真上は、浸水被害にあった家屋を視察する枝野代表と石橋議員)。

 今回視察した地域は、江の川の本流で行き場を失った水が、未整備の支流に逆流して氾濫しました。

 川越地区では、自宅が浸水被害にあった方や復旧作業にあたる方から、「死者が出なかったから報道はされないが、こうした地域もあるということも知ってほしい」「この地区周辺は300世帯くらいあるが、100世帯くらいが浸水被害に遭った。しかも高齢の方が多い。これから復旧をどうやっていこうか」といった声を聞きました。

町立川越小学校跡の川越地区コミュニティ交流センターで瓦礫を前に説明を受ける枝野代表ら
同センターで被災状況やボランティアの受け入れなど説明を受ける枝野代表ら
同センターに積まれた畳の山

 田津地区では、江の川に隣接する土地でゴボウ栽培をしている方から、「4、5年に1度、大雨で氾濫し肥沃な土を運んでくる。ただ今回の豪雨は大量の泥を運んできたので、数日後に収穫予定だったものが駄目になり700万円くらいの損害になった」「堤防を作ると農地の大部分は埋められてしまう。この地区は洪水と戦うのではなく、人と水(農地)がすみ分けるような対策を講じたほうがいい」といった話を聞きました。

被害に遭った畑で説明を受ける枝野代表ら
間もなく収穫を迎える予定だったゴボウ

 視察後、記者団の取材に応じた枝野代表は、人命救助が優先であり、被害の大きい地域に報道や支援が集中するのはやむを得ない側面があると前置きをした上で、「報道も国民の皆さんの関心も十分に向いていないが、実は相当深刻な被害を受けている地域が少なからずある」と今回の視察目的を語り、把握しきれていない被害がまだ各地にあるとの見解を示しました。

 さらに、「大規模な治水事業も大事だが、もう少しだけ工夫すれば大きな費用や時間を掛けることなく防げる水害があると、今日の視察でも感じた。地域の水と共存しながら頑張っている農業、水害を乗り越えてどう支えていけるのか、さらに考えていく」と語りました。

 また、今後の党の活動については、「それぞれの地域ごとの事情に応じて、その時点での優先事項をメリハリつけて進めていく。見落とされがちな被害の状況や、被害に遭われた皆さんの声をいかに拾い、政府に届けていくか、という視点でやっていきたい」と話しました。

 記者から、週明けに総理も出席したカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案(いわゆるカジノ法案)の審議があることについて問われると、「広範な災害であり、地域よって状況・事情が千差万別な状況の中で、行政の対応は前例主義ではなかなか進まない。前例主義を乗り越えるために政治があると思っているので、(災害対応の)中心を担う国交大臣を与党として(カジノ法審議に)貼り付けていたというのは大変遺憾。東日本大震災の時に、国会を1週間以上止め、そのあとも災害対応審議に専念する期間を作っていただいた。もちろん批判もたくさんあるが、政治として、その時判断しなければならいことが山ほどあった経験から、そうした時間をカジノに割いてきており、まだ割こうとしている。私は理解できない」と語りました。

 視察同日に島根で第1回目の開催をし参加する予定だった農山漁村タウンミーティングについては、「それぞれの地域ごとに様々な声をきかせていただく。そのことでよりきめ細かく、それぞれの地域事情に合った政策を提起できるのではないか。市場メカニズムだけでは評価しきれない、1次産業の多元的価値をしっかりと政治が受け止め、支えていく。支え方については、それぞれの地域の事情に応じた様々なやり方やメニューを増やすことを秋から暮れにかけてやっていく」と意義を語りました。

4分の3まで水が達した跡が残る窓枠と、水没を免れたツバメの巣。手前上には昭和47年7月豪雨の水位を示すプレート
昭和47年7月豪雨の水位を示すプレート
浸水時のゴミが引っ掛かったままの電柱や電話線
今年4月に廃線となった三江線の踏切の遮断器も今回の被害に
崩れ落ちた歩道と側溝