参院本会議で31日、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」の採決が行われ、自民、公明、日本維新などの賛成多数で可決、成立しました。
採決に先立ち、石橋議員が反対の立場で討論に立ちました。冒頭、「今この瞬間にも、全国各地で、この法案に反対の声を挙げている多くの国民、働く仲間の皆さんの思いを代弁して、断固、反対の立場で討論をいたします」と宣言しました。
続いて、参議院らしい審議を真摯に積み重ねてきたと話した上で、大事な法案の審議だからこそ時間ありきではない。ここに至っても審議は尽くされていない。それは取りも直さず8本もの法案を1本にまとめて国会に出し、さらにデータ偽造問題などで国会を混乱させた、政府・与党の責任だと言及しました。
反対の最大の理由として「高度プロフェッショナル(高プロ)労働制」の問題を挙げ、成果で評価することも、時間で評価してはいけないことも、明文の規定などどこにもないと指摘。さらに対象業務は省令で拡大出来る上、年収要件の目安とされた1,075万円にも根拠は無く、通勤手当や住宅手当などの諸手当込みで賃金額を決めれば基本給800万円以下の労働者にも適用が可能であると説明しました。
また、高プロ適用労働者の実労働時間が把握できないことも問題視。健康管理時間から実労働時間を算出する方法の質問に対し、「パソコンのオンオフでみる」「本人に聞いてみる」「管理者が対象労働者の労働時間を現認する」といった答弁したことを挙げ、杜撰極まりない法案だと厳しく指摘しました。
さらに「高プロは、産業競争力会議で経済人などから意見があり取りまとめられた」「経団連会長等から高プロを導入すべきとご意見いただいた」と安倍総理自身が語り、労働者の希望やニーズに応えた制度だというこれまでの説明はまったくの虚偽だということが判明したと指摘しました。
その上で、「財界からの要望に応えるために、労働時間等総合実態調査の調査結果を都合よくねつ造し、JILPTの調査結果は都合が悪いからと隠ぺい。さらに労働者の要望をさも聴いたかのように、法案の骨格が出来あがってしまってから12人のヒアリングをでっち上げた」と指摘。「高プロの立法事実をねつ造していたのであれば、法案の撤回どころではない。いますぐ国民に謝罪し、内閣総辞職すべき大問題」だと糾弾しました。
その他の反対の理由として、(1)現行の裁量労働制の深刻な制度的欠陥を放置し、なんら対策を講じていないこと、(2)残業時間の上限規制について、真に実効性ある長時間労働削減策になり得ていないこと、(3)政府案にパワーハラスメントを含む各種ハラスメントに対する規制策が盛り込まれていないこと――を挙げました。
最後に「残業代ゼロ制度によるコストカットで、労働者の犠牲の上に一部企業だけが儲かる成長戦略に、日本の未来を託すことなどできません」と語気を強め、「私たち立憲民主党は、これからも働く者の立場に立って市民の皆さんと力を合わせ、全力で戦っていく決意である」と述べ締めくくりました。