参院本会議で15日、「卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案」の採決が行われ、会派を代表して川田龍平議員が反対の立場で討論を行いました。
川田議員は、本法律案の問題として、第一条の目的を改正し、「卸売市場が公正な取引の場として重要な役割を果たしている」と盛り込んでおきながら、公正な取引を確保するための規制を受けない「法適用外市場」の開設が可能となるよう改正を行っていることを取り上げ、「大きな矛盾と言わざるを得ない」と指摘。農林水産省は、この「法適用外市場」について、衆院で「許認可を受けないで開設する卸売市場はない」と答弁しながら、省のホームページでは許認可を受けていない法適用外市場が111もあるとしています。この点について参院の委員会で確認したところ、許認可の規模要件を満たさない法適用外市場の存在を認める答弁をしたとして、「衆参の委員会における答弁の違いは、国会軽視も甚だしいことこの上ない」と非難しました。
その上で、(1)許認可制から認定制への移行と整備計画体系の廃止により、食料の安定供給の面で支障が生じる(2)卸売市場での取引規制の緩和により公共的な役割を果たせなくなる(3)災害時等の緊急事態での役割や機能が確保されなくなる――等の懸念点を列挙。食料・農業・農村基本法には、食料の安定供給が国の責務として明記されていると述べ、「食料へのアクセス権を保障するのも国の大きな責務の1つであり、卸売市場制度が創設された経緯を考えれば、生産者と小売業者をつなぐ卸売市場の存廃を民間任せにしてしまってはいけない。今だけ、金だけ、自分だけ。安倍内閣の農政改革に通底する理念だ。100年をかけて形成されてきた我が国の卸売市場は、生産者誰もが安心して出荷でき、大規模小売業者から零細小売店まで差別なく利用できる、世界に冠たる生鮮食品流通のプラットフォームであり、何としても守っていかなければならない」と表明し、将来に禍根を残す悪法である本法律案を成立させてはならないと訴えました。
採決の結果、本法律案は与党などの賛成多数で可決されました。