参院予算委員会で5日、「働き方改革・内外の諸情勢」に関する集中審議が行われました。立憲主党からは幹事長の福山哲郎議員が質問に立ち、(1)森友学園への国有地売却問題(2)防衛出動命令に関する自衛官による訴訟――について政府の見解をただしました。
質疑後に記者団の取材に応じた福山議員は、学校法人「森友学園」への国有地売却問題をめぐる財務省の決裁文書書き換え疑惑について、「財務省は先週とまったく変わらない不誠実な態度で、先週と微妙に答弁も変わっていた。今日に至っては、参院予算委員会の理事会と委員会での説明、さらには(有志の野党議員が現地に訪れた際の)近畿財務局の説明がそれぞれ微妙に異なっており、本当に支離滅裂な状況になっている。一般的に決裁した文書を書き換えることはあり得ない。普通なら訂正印が必要であり、そんなこと(書き換え)をすれば有印公文書変造罪をはじめ刑事事件につながる可能性がある。財務省は文書が2つあるかどうかをいまだに明言できないわけであり、質疑を通じて問題は深刻かつ根深くなっていると感じた」と述べました。
防衛出動命令に関する自衛官による訴訟をめぐっては、福山議員は、政府が裁判所に提出した準備書面で「現時点で存立危機事態も発生しておらず、また現時点における国際情勢に鑑みても、本件訴訟が継続する当面下において、将来的に上記自体が発生することを具体的に想定し得る状況にはない」と主張していることを問題視。控訴人の自衛官が「米国と北朝鮮で武力衝突が発生した場合、わが国の存在、国民の生命・自由および幸福追求の権利が根底から覆る明白な危険がある」と安倍総理が常々言っていることを主張したのに対し、国は「抽象的な仮定を述べるもの」「現時点ないし本件訴訟が継続する当面下において現状の国際情勢が著しく変動し、防衛出動命令の前提となるべき武力攻撃事態または存立危機事態が発生し得ることの具体的危険性を肯定することはできない」などと反論しているとして、「われわれは安保法制のときにずっと立法事実がないと言っていた。立法事実がないことを国が司法の場で認めているではないか。司法の場は法と証拠に基づいてやらなければいけない。非常に問題だ」と断じました。